次世代の通信業界を担う高性能認証プロトコル、Diameterって何?
SUMMARY
- Diameterは、今、もっとも注目を浴びている高性能な通信制御のプロトコル
- Diameterは、認証だけでなく、帯域制御(PCRF)、課金制御(OCS)にも対応
- Diameterは、スマホ時代に合わせて、モバイル対応も充実している
高性能な通信制御のニーズが高まる現在、認証・認可・課金 (AAA: Authentication, Authorization, Accounting) の次世代プロトコルとして注目を集めるDiameter(ダイアメーター)についてご紹介します。
スマホ、MVNO、大容量LTEなど、通信革命のためのプロトコル
スマートフォン、タブレットといったモバイル機器の普及は、通信業界に革命的な変革をもたらしました。さらにLTE通信の大容量化、MVNO(仮想移動体通信事業者)の増加に伴い、より高性能な通信制御が求められています。
この変革によって、これまでネットワーク接続認証プロトコルのグローバル・スタンダードだったRADIUS(ラディウス=半径)の限界がみえてきました。RADIUSに代わって次世代プロトコルとして注目を集めているのが、Diameter(ダイアメーター=直径)です。
Diameterが開発されたのは2003年。開発から10年以上の時を経た2014年現在、再評価されているのにはわけがあります。これまでのようなネットワークの利用状況では、Diameterはハイスペックすぎたのです。時代が、Diameterに追いついたともいえます。
機密情報を安全にコントロールする通信制御機能
認証システムとは、ネットワーク経由でモバイル機器やコンピュータへアクセスするユーザを識別するだけでなく、特定情報へのアクセス制御を行ったり、機密情報を保護したりする働きもあります。
また課金サービスなどデータに機密性が要求される場合には、ユーザ名やパスワードなどの認証データを暗号化して情報漏洩を防止する働きもあります。また課金サービスが一定のしきい値を越えた時点で、帯域やセッションなどを自動的に制御する機能も備えています。
機密情報をネットワーク上でやりとりすることがスタンダードになった今、認証システムにはより高い性能が求められています。こういった機密性情報を、安全に、自在に、コントロールできるのがDiameterなのです。
スマートフォンやプリペイド携帯などでの帯域制御(PCRF)、課金制御(OCS)
ネットワーク接続認証プロトコルRADIUSの欠点を補いながらも、RADIUSのメリットは残しているのが、Diameterが「次世代」と謳われるゆえんです。RADIUSと比べると、Diameterには、より幅広い拡張性があります。ベースのプロトコルとして使える枠組みがあるのです。
また通常の接続認証にとどまらず、帯域制限(ユーザの利用状況を動的に管理する)、IP電話のセッション制御プロトコルであるSIPとの連携など、幅広い用途にも対応します。なかでもスマートフォンやプリペイド携帯などでのリアルタイムでの帯域制御(PCRF)や課金制御(OCS)には、すでにDiameterが導入されています。
Diameterは、インターネット技術の標準化を推進するIETFでも、「RFC 3588」(PROPOSED STANDARD)として規定されています。
スマートフォンでのビジネスを支援する通信プロトコル
たった数年で、通信市場が、ビジネスが、世界が、大きく様変わりしました。
国内でスマートフォンが一般的になったのは、iPhoneの登場から2年後の2009年でした。総務省のデータによると、その3年後の2011年には市場規模が27倍にまで増加しています。
出典:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc122110.html
一節によると、2014年現在の接続端末台数、つまりネットにつながる端末機器は、世界中で60億とも言われています。全世界の人口に肉薄する驚くべき端末数、その内訳を見ると、その一位はパソコンではなく、スマホにとって代わられています。
言い換えると、ITサービスのスタート地点はパソコンで見るWebサイトではなく、スマホになったということです。スマホでのビジネスが前提になった今、モバイル端末の規格を決める団体が通信プロトコルとして指名しているのか、Diameterなのです。